単語キャンセルルール編
「単語キャンセル」モードは、指定した単語に他のチェックルールが付与したマーキングとその説明を無効化(キャンセル)するルールです。
例えば、PRUVのルールと業界特有の表記ルールが干渉する場合。組み込みシステム業界の一部では、「組込み」という表記が使われます。PRUVは送り仮名のルールとして本則を採用しているため、「組込み」は送り仮名が欠落していると見なして指摘します。
「単語キャンセル」モードで「組込み」を定義することで、これをキャンセルできます。
「組込みシステム」「組込み開発」など、名詞のみ適用して動詞は「組み込む」にしたい場合は、キャンセルする品詞を明示することもできます。逆に動詞をキャンセルしたい場合は、基本形の「組み込む」を指定して活用形を自動生成すれば未然形や連用形、連体形などの定義はPRUVが生成します。
設定方法
まず、対象語を「組込み」、品詞を「名詞」に限定したルールを作成してみます。
画面1 名詞「組込み」をキャンセル
これで名詞のみキャンセルされるようになります。
画面2 動詞の「組込み」(連用形)はキャンセルされない
動詞も定義する場合は品詞を「動詞」にして「活用形を自動生成」をオンにします。
画面3 名詞に加えて動詞を定義
これで活用形も含めてルールが登録されます。
注意点
「単語キャンセル」モードには3つ注意点があります。
まず、漢字チェックや機種依存文字チェックは「単語キャンセル」モードでキャンセルすることができません。これは、漢字チェックや機種依存文字チェックがチェックルールとは異なる仕組みで動作しているためです。これをキャンセルさせるためには1文字ずつチェックするという処理が必要になります。「単語キャンセル」モードのルールが10個あった場合、全文を1文字ずつチェックするという処理を10回繰り返すことになり、非常に時間がかかってしまうのです。
2つ目は、上記の例外を除くあらゆるルールをキャンセルしてしまうということです。安易に「単語キャンセル」モードを使うと、他に重要なルールがあったとしても気付くことができなくなります。
3つ目は、指定された単語を単純にキャンセルするだけである、ということです。例えばPRUVの標準辞書には「松下」+「電気」を誤り(パナソニックの旧称は「松下電器」)として指摘するルールが定義されています。
ここで単純に「松下」だけをキャンセルするとどうなるか。
画面5 「松下」をキャンセルした場合
「松下」+「電気」を誤りとするルールが発動して2つの単語がマーキングされますが、「単語キャンセル」モードによって「松下」だけマーキングがキャンセルされます。さらに、本来はチェック結果に
「松下」と「電気」の組み合わせは不適当です。
という説明が表示されるのですがこれもキャンセルされます。そのため「電気」だけが説明もなくマーキングされるという状態になります。「単語キャンセル」モードはその単語に付与された「ルール」をキャンセルするのではなく、ルールによって付与された「マーキングとその説明」をキャンセルしているだけであることに注意してください。